週刊少年サンデーに掲載されている「葬送のフリーレン」のあらすじを、流れをわかりやすくすることを意識して解説しています。
こちらのリンクから気になる巻にそのまま飛ぶこともできます。
この記事にはアニメ版よりも少し先の話も解説している為、ネタバレを含みます。
さらにアニメの話数と原作を対照させたリンクです。
気になるアニメの回の原作の解説に飛ぶことができます
- [葬送のフリーレン]年表
- [葬送のフリーレン]第1巻ネタバレ
- [葬送のフリーレン]第2巻ネタバレ
- [葬送のフリーレン]第3巻ネタバレ
- [葬送のフリーレン]第4巻ネタバレ
- [葬送のフリーレン]第5巻ネタバレ
[葬送のフリーレン]年表
葬送のフリーレンは時間の経過というものをとても大切に扱っている作品です。
すべての話は常に時間の説明から始まります。
ここでは作中でも基準とされている勇者ヒンメルの死を0年として、判明している事象を年表にまとめました
年 | できごと(カッコ内は掲載巻) |
?(⁻1000年以上) | フランメがゼーリエに弟子入りする |
?(⁻1000年以上) | 魔王がエルフを皆殺しにすることを命じる(3) フリーレンの集落が魔族に滅ぼされる(3) フリーレンがフランメに弟子入りする 50年ほど一緒に暮らす |
⁻500年程度 | 「断頭台のアウラ」が七崩賢の一人となる(3) |
⁻400年程度 | フリーレンがエルフと出会う(2) |
⁻300年年程度 | クラフトがエルフと出会う(2) |
⁻100年程度 | 魔王軍の攻撃が激化する(4) |
⁻76年 | 勇者ヒンメル誕生 |
?(⁻65年前後か) | ヒンメル、行商人を魔物から助けて勇者の剣の模造品をもらう |
⁻61年 | 南の勇者がフリーレンを勧誘(11) |
⁻60年 | フリーレン、勇者ヒンメルの一行に加わる(3) アイゼン、勇者ヒンメルの一行に加わる 勇者ヒンメルの一行、銅貨10枚を下賜され、王都をたつ(1) |
-59年 | 南の勇者、死亡(2)(11) |
?(⁻59以後) | かき氷の魔法を見つける ヒンメルが「くだらない旅がしたい」と話す |
?(⁻50年以上) | ヒンメル一行、腐敗の賢老クヴァールを封印(1) |
⁻50年 | ヒンメル一行魔王を倒す(1) エーラ流星が降る |
?(⁻25前後か?) | 大陸魔法協会が設立される(3) |
0年 | エーラ流星が降る(1) 勇者ヒンメル死去(享年76)(1) 断頭台のアウラが力を取り戻す(2) 北部高原の魔物が活性化する(5) |
5年 | フリーレン、中央諸国の「音楽都市」を訪れる(※奏送) |
?(20年以前) | ハイター、フェルンをひきとる(1) |
? | アイゼン、シュタルクを引き取る(2) |
20年 | フリーレン、聖都にハイターを訪ねる(1) |
25年 | おそらくこの年にアイゼンの元からシュタルクが出奔か? シュタルクが紅鏡竜を追い払う(2) |
26年 | ハイター死去(享年推定100歳前後)(1) フェルン、フリーレンと旅に出る。 フリーレン、ターク地方のヒンメルの銅像をきれいにする(1) |
27年 | 交易都市ヴァルムにてフェルン16歳の誕生日を迎える(1) グレーゼ森林にてクヴァールの封印を解いて倒す(1) |
28年 | グランツ海峡の町の新年祭に参加する(1) ブレット地方にアイゼンを訪ねる(1) フォル盆地でフランメの手記を見つけ出す(1) 紅鏡竜を倒し、シュタルクが一向に加わる(2) 断頭台のアウラを倒す(3) シュヴェア山脈の麓の山小屋でエルフのクラフトと一緒に冬を越す(3) |
29年 | シュヴェア山脈の中にある「勇者の剣の村」で魔物討伐をする(3) アベティート地方の町でシュタルクの18歳を誕生日を祝う(3) アルト森林の中の村で僧侶ザインを仲間に勧誘する(3) ラート地方でフェルンの18歳の誕生日を祝う(4) バンデ森林で「失くした装飾品を探す魔法」を手に入れる(4) ラオブ丘陵で混沌花を倒す(4) シュタルクがオルデン家の長男の身代わりとなり、社交界に出席する(4) フォル爺の村に1週間滞在する(4) ローア街道が分岐する場所の集落で「戦士ゴリラ」の足跡がわかり、ザインが一行から別れる。(4) オッフェン群峰を旅する途中で、フェルンが熱を出す(4) 魔法都市オイサーストで、フリーレンとフェルンが一級魔法使い試験を受験する(4) |
年数や前後がはっきりしない事象は、判明次第随時直してまいりますので、ご容赦ください。
※「奏送」はアニメOP「勇者」の原作として書かれた小説です
【葬送のフリーレン】第1巻ネタバレ
第1巻には第1話から第7話が収められています。
下のリンクから各話に飛ぶことができます
第1話:冒険の終わり
物語は冒頭から「冒険の終わった勇者一行」を描く

- 勇者:ヒンメル(26歳)人間
- 僧侶;ハイター(勇者と同じくらい)人間
- 戦士:アイゼン(?)ドワーフ
- 魔術師:フリーレン(1000歳以上)エルフ
旅立つときはタメ口をきいたヒンメルとアイゼンを処刑しかけ、結局銅貨10枚しかくれなかった王様も、広場に勇者一行の銅像を作ると約束する
お祭り騒ぎの王都で旅の思い出を語りながら、4人は半世紀に一度降るという半世紀(エーラ)流星を一緒に見る

勇者たちにとっては「10年にも及んだ冒険」。
けれど1000年以上生きるフリーレンにとっては「たった10年の短い冒険」だった。
フリーレンは仲間に「次の半世紀流星はもっときれいに見える場所に案内する」と約束して、魔法収集の旅に出ていく。
エルフであるフリーレンと、他の仲間の時間間隔が乖離していることに注目
「たまには顔を見せるよ」と言いながらも、フリーレンが旅を続けるうちに50年近い時間がたち、半世紀流星の時期が近づく。
召喚に使うために暗黒竜の角が必要になったフリーレンは、預けた暗黒竜の角を受け取るためにもヒンメルを訪ねた。
再会したヒンメルはすっかり老いぼれていた。
ヒンメルはタンスの中から常に邪悪なオーラを出していたという暗黒竜の角をフリーレンに返し、他の2人の仲間も一緒に、そろって半世紀流星を見るための旅に出かける
そして1週間の旅ののち、かつての勇者一行はそろって美しい流星を見た。
僕はね、全員がそろうこの日を待ち望んでいたんだ。有難うフリーレン、君のおかげで最後にとても楽しい冒険ができた。

新世紀流星を見てほどなく、勇者ヒンメルが斃れる。
ヒンメルの葬儀で、フリーレンは自分がヒンメルの事を何も知らないと泣き出す。
「人間の寿命は短いってわかっていたのに…なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう
泣きじゃくるフリーレンを、ハイターやアイゼンは頭をなでてなぐさめたのだった。
ヒンメルの葬儀が終わると他の仲間も解散する。
ハイターは「それではお先に」と去り、旅に出るフリーレンは前衛としてアイゼンを誘うが「もう斧を振れるような歳じゃないんだ」と断られる。
人間よりは長命なドワーフであるアイゼンにとっても、50年は短い時間ではなかった。
アイゼンに別れを告げて、フリーレンはひとり旅立っていった。
この「ヒンメルの死」が、この先物語の時間経過を記す基準となります。
第2話:僧侶の噓
勇者ヒンメルの死から20年後
フリーレンは聖都郊外のハイターの家を訪ねる。
ハイターは死んでいるものと覚悟して、墓に供える酒まで持参したフリーレンだったが、ハイターは生きていた。
酒もやめ、南側諸国の戦災孤児であるフェルンという少女を引き取って、一緒に暮らしているという。
魔法の才能を持つフェルンを弟子にしてくれと、ハイターはフリーレンに頼むが、一人前でない魔法使いは足手まといになるからと、フリーレンは断る。
改めてハイターは魔導書の解読をフリーレンに依頼し、その片手間にフェルンに魔法を教えてくれるように頼んだ。
フリーレンを驚かせるほどに年齢に似合わない研鑽を積むフェルンは、フリーレンの教えを受けてさらに励む。
フリーレンが「常人なら10年かかる道を4年で超えた」というまでに成長したころ、ハイターが倒れた。
死の床についたハイターについているようにフリーレンは言うが、フェルンは修行を続けようとする。
自分を救ってくれたハイターの行為が正しかったと証明するために、一人前になることこそが、フェルンにとってのハイターへの恩返しだった。
フリーレンも依頼された魔導書の解読を急ぎ、解読が終わるころにはフェルンは「粗削りだが1人前」にまで育っていた。
フリーレンが一人前と認めるなら、フェルンは旅の足手まといにはならない。
ハイターは今度こそフリーレンにフェルンを託す。
ハイターの死はしばらく後の事で、時期は明記されていない
ハイターの死後、埋葬を終えたフリーレンは、フェルンを連れて旅に出た。
第3話:蒼月草
勇者ヒンメルの死から26年後
一緒に旅をするようになったフリーレンとフェルンは、ヒンメルの銅像をきれいにする仕事を引き受ける。
「銅像の錆びをきれいにとる魔法」のおかげで、銅像はすぐにきれいになるが、周囲に植える花をヒンメルの故郷の鼻である蒼月草にしたいとフリーレンが望んだために、滞在が伸びる。
蒼月草は何十年も前から目撃例のない花だった。
蒼月草を探すうちに滞在は半年にも及び、焦るフェルンはフリーレンに薬師からもらった近縁種を代わりに植えようと訴える。
「半年」という時間の重みがフリーレンとフェルンでは大きくズレている
その近縁種の種を運ぶシードラットを追いかけたことで、隠されていた蒼月草の群生地を見つけ、無事に蒼月草を解析して魔法を手に入れたフリーレンは、ヒンメルの像の周囲に蒼月草の花畑を作り、銅像の頭に花冠を飾った。
第4話:魔法使いの隠し事
勇者ヒンメルの死から27年
交易都市ヴァルムで手分けして買い物をすることになった2人。
手分けという割に旅の必要物資はすべて自分が買うことになっているのに不審を抱いたフェルンは、別行動をとるフリーレンの後をつける。
アクセサリーショップで買い物をし、スイーツショップの情報を求めて酒場の冒険者を訪ねたフリーレンはそのまま宿の方へ戻り、自分の買い物を済ませていなかったフェルンは、あわてて買い物に走り回る。
買い出しから帰ったフェルンを連れてフリーレンは冒険者おすすめのスイーツショップへ向かい、いっしょにスイーツを食べようと提案するが、フリーレンが食べたいものを当てるフェルンに引き換え、フリーレンにはフェルンの気持ちがわからない。
自分にはフェルンの好きなものがわからないと言いながらも、フリーレンはフェルンに誕生日プレゼントの髪飾りを差し出し、フェルンはそれを喜んで受け取った。

翌日、旅立つフェルンの髪には髪飾りが飾られている。
この旅の目的を問うフェルンに、フリーレンは特にないが風化する前にヒンメルたちとの冒険の痕跡をたどりたいと答える。
この話が「旅に出てから初めてのフェルンの誕生日」なので、ハイターの死がヒンメルの死後26年目に確定
5話人を殺す魔法

勇者ヒンメルの死から27年
グレーゼ森林でフリーレンはフェルンに防御魔法の応用を教える。
かつて勇者一行と一緒に近くに封印した大魔族、「腐敗の賢老クヴァール」の封印が解ける時が迫っていたからだ。
近くの村にたどり着いたフリーレンは、ヒンメルが死ぬまで毎年クヴァールの封印の様子を見に訪れていたことを知る。
クヴァールは人を殺す魔法(ゾルトラーク)という魔法を作って、多くの被害をもたらした魔族だった。
一晩明け、封印を解いたクヴァールの一撃を受けたフェルンは驚く。
ゾルトラークとは「一般攻撃魔法」。魔術師が普通に習う攻撃魔法だった。
一般攻撃魔法もそのための防御魔法も、すでに一般的な魔法になっている
強力すぎるゾルトラークはクヴァールが封印された後に人類によって徹底的に解析され、わずか数年で人類の魔法の体系の中に取り込まれていたのだ。
フリーレンの強力なゾルトラークの一撃でクヴァールは倒れる。
村人の感謝にフリーレンは村人が信じていたのはヒンメルだと言うがヒンメル様は、フリーレン様を信じていたのだと思いますよと答えるフェルンに微笑むのだった。
第6話:新年祭

勇者ヒンメルの死から28年後
グランツ海峡に面した海辺の町で、フリーレンたちは海岸の掃除を請け負う。
依頼のために滞在するうちに、フェルンはフリーレンが朝起きられないのに気付く。
フリーレンは起きられないことで勇者一行で怒られたのは一度だけだというが、ハイターがたまに舌打ちしていたと聞いたフェルンは普通にブチギレられていると指摘した。
実はこの町では新年の日の出を見るという習慣があり、海岸の掃除はそのためのものだった。
勇者一行と一緒の時は日の出を見そびれたフリーレンは、今回は新年の日の出を見るために本を読んで徹夜しようとするが、朝、フェルンが目覚めると眠っている。
結局はフェルンが引きずるようにフリーレンを連れ出して、2人は無事に新年の日の出を見ることができた。
綺麗だが早起きするほどの価値はないと感じたフリーレンは、かつて「君にも見せたかった」と言っていたヒンメルの事を「わかってないな」と感じるが、フェルンが微笑んで「綺麗ですね」と日の出を見る横顔を見た。

フェルンに少し楽しそうだと指摘されたフリーレンは、それがフェルンが笑っていたからだと気づく。

ひとりでは子の日の出は見られなかったというフリーレンに、フェルンは一人では起きられないからと返したのだった。
第7話:魂の眠る地
勇者ヒンメルの死から28年後
フリーレンたちはブレット地方のアイゼンを訪ねる。
何か手伝ってほしいことはあるかと尋ねるフリーレンに、アイゼンはフォル盆地にあるという大魔法使いフランメの手記を探してほしいと答えた。
それはアイゼンと豆に文通を続けていたハイターが、聖都に残されたフランメの記録をまとめ上げて在処を割り出したものだった。
ヒンメルの葬儀の日、ヒンメルを知ろうとしなかったことを悔やむフリーレンの言葉を、アイゼンはヒンメルに直接伝えるべきものだと思ったのだという。
アイゼンはフランメの手記には死者と直接対話した記録があると知って、それをフリーレンに知らせたいと思っていた。
実はフリーレンはフランメの一番弟子で、手記があるのはかつてフリーレンがフランメと暮らした場所だった。
目指す「遺跡を飲み込んだ大樹」をフェルンが発見し、フリーレンは大樹と遺跡にかけられた結界を解く。

大樹はかつてその場所を守るためにフランメが植えた苗木だった。
机の上に開かれた本は、死者との対話のページが開いている。

かつてフランメが死者と対話したという「魂の眠る地(オレオール)」は今は魔王城が建つ大陸北部のエンデにあるという。
フリーレンたちの旅の目的地が決まった。
[葬送のフリーレン]第2巻ネタバレ
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第8話:百分の一

フォル盆地からアイゼンが暮らすブレット地方へと帰る馬車の中で、眠ってしまったフリーレンを傍らに、アイゼンはフェルンにフリーレンがいい師匠かと問う。
フェルンは分からないと答えた。ただひたすらに魔法を求める旅をするフリーレンに、フェルンは振り回されてばかりいると感じていたのだ
ヒンメル達を知ろうとすることには興味があっても、自分にはあまり興味がないのかもしれないと答える。
それでも旅を始めてから誕生日プレゼントをくれるようになったというフェルンの言葉に、アイゼンはかつて弟子をとってもすぐに死んでしまうから時間の無駄だと答えていたフリーレンを思い出す。
同じ長命種としての共感を求めるフリーレンに、その時のアイゼンは答えることができなかった。
回想から戻ったアイゼンはフェルンに「そいつはいい師匠だ」と話しかけ、フェルンも微笑んで肯定した。
ブレット地方へ帰りつくとアイゼンとは別れることになった。
エンデまでの道のりはかつてヒンメル達が魔王城を目指した道のりと重なる。
たった10年の、フリーレンにとっては人生の百分の一にも満たない旅路。
だが、その百分の一がフリーレンを変えたのだというアイゼンの言葉に送られて、フリーレンとフェルンは歩き出した。
第9話:死者の幻影
フェルンと死の直前と思われるハイターとの会話から始まる。
いい子にしていないと化けて出るというハイターに、悪い子になれば化けて出てきてくれるのかと問い返すフェルン。
ハイターは笑って前言を撤回し、フェルンがいい子なら少しぐらい化けて出てあげてもいいと言った。

勇者ヒンメルの死から28年後。
目が覚めたフェルンはフリーレンにもたれて馬車の上にいた。
たどり着いたヴィレ地方の村の峠道には、幽霊が出て人をさらうのだという。
「死者の生前の姿のまま話しかけられる」という証言に、フリーレンはアンデッドの仕業ではないと断定する。
その「悪趣味な奴」に会わないように通り過ぎようとするフリーレンに、フェルンは村の人たちが困っていると止めた。
死者の幻影を操っている魔族は「幻影鬼(アインザーム)」人しか食べない魔物だという。
アインザームの操る「大切な死者の幻影」を撃てるかという問いに、フェルンは偽物とわかっているから撃てると答えた。
やがて霧が立ち込め、フェルンの前にハイターの幻影が現れる。

「あなたがいい子でいたから少しだけ化けて出ることにしました。」という言葉に、幻影に向けて冷静に杖を構えたはずのフェルンは魔法を放つことができない。
フリーレンの前にはヒンメルの幻影が現れる。

幻影が「師匠」から「ヒンメル」に代わったことに、フリーレンは自分が変化していることを自覚する。
フリーレンがヒンメルの幻影に魔法を放つことでアインザームの姿が現れ、フェルンもハイターの幻影を撃つことができた。
ハイターの幻影が消えた後を見つめ、あれは幻影だったと話すフェルンに、フリーレンは次は「本物に会いに行こう」
と答える。
天国であるオレオールを目指す旅路の先に、死者であるヒンメルもハイターも待っているはずなのだ。
第10話:紅鏡竜
勇者ヒンメルの死から28年後。
中央諸国リーゲル峡谷の紅鏡竜の巣の中に、フリーレンは探していた「服が透けて見える魔法」の魔導書を見つける。

フェルンが魔法を放つが、竜は硬く、倒すことができずに追いかけまわされる。
フリーレンはアイゼンに教えられたアイゼンの弟子を、仲間に加えることにする。
リーゲル峡谷にほど近い村の「英雄」として村を竜から守っているシュタルクは、3年前に村を紅鏡竜が襲った時にその竜と対峙し、一歩も引かないことで竜を退散させたのだという。
旅の仲間にと勧誘するフリーレンに、シュタルクは加わってもいいが紅鏡竜だけは倒してほしいとフリーレンに願った。

じつはシュタルクは、まだ一度も魔物を倒したことがない臆病な戦士だったのだ。
だが、フリーレンはシュタルクの背後の岩山の巨大な切れ目を見つめ、シュタルクは竜と戦えると断言する。
懐疑的なフェルンだが夕食後に響いてきた大きな音にシュタルクの元へ向かい、岩山の巨大な切れ目がシュタルクの修行の跡であったことを知る。
フリーレンはアイゼンに、シュタルクが「魔族に故郷の村が襲われたときに一人だけ逃げ出した臆病者」で「アイゼンのすべてを叩き込んだ」戦士だと聞かされていた。
第11話:村の英雄
巨大な岩山を裂く修行の跡に、フェルンは「竜と戦う気がないのになぜ修行を続けているのか」と問う。

自分はこの村の英雄で、村を守らなければいけないのだと言いながらもシュタルクは、死んでも竜とは戦いたくない、結局逃げてしまうかもしれない。額の傷も魔物と戦いたくないために師匠とけんかして殴られた時のものだと告白する。
フェルンは自分が初めて魔物を倒した時の経験からシュタルクに「必要なものは覚悟だけだ」と助言する
翌日、自分が死んでも紅鏡竜だけは倒してほしいというシュタルクを加え、フリーレンたちは紅鏡竜の巣へと向かう。
震えているシュタルクに、フリーレンは「アイゼンと同じだ。」と笑う。
アイゼンは怖がるのは悪いことではないと、かつてフリーレンに話していた。

竜の間合いにシュタルクが入っても竜は動こうとはしない。賢い生き物である竜は、シュタルクの強さを感じ取っていたのだ。
アイゼンはシュタルクを殴って傷つけてしまった時のこともフリーレンに語っていた。
アイゼンはシュタルクに「怖さ」を感じて反射的に殴ってしまったのだ。
シュタルクが竜に足止めの一撃を入れても、フリーレンは動かない。
なじるシュタルクにフリーレンは、竜がもう死んでいることを指摘する。
シュタルクの一撃は紅鏡竜を倒していた。
竜の巣をあさるフリーレンに、シュタルクはアイゼンがフリーレンのせいで勇者一行の冒険が、くだらなくてとても楽しい旅になったと言っていたと伝える。
その言葉にフリーレンは「かき氷を作る魔法」を手に入れたときのことを思い出す。
僕はね、終わった後にくだらなかったって笑い飛ばせるような楽しい旅がしたいんだ。

ヒンメルはかき氷の魔法を「くだらない」とくさすアイゼンに、そんな風に話していた。
アイゼンのところに戻ってもいいと言うフリーレンにシュタルクは自分もくだらない旅がしたくなったのだと、改めて同行することを表明する。
第12話:北方の関所
勇者ヒンメルの死から28年後
リーゲル峡谷の城塞都市ヴァールから北方への関所を通ろうとしたフリーレン一行は、魔物の動きが活発なために、関所が閉められていることを知る。
フリーレンは久々にゆっくり魔法の研究をすると言い出した。
町の評判では2年は関所が開かないと言われており、フェルンは焦りを覚えてシュタルクと一緒に抜け道を探す。
商人ギルド、闇市、盗賊ギルドなど手当たり次第に当たっていくが、どこも関所を超えることはできないと言う。
城壁の上から北側の景色を見ながら、シュタルクは同じ景色をアイゼンと見た子供の時の思い出を話す。

普段、自分の話をしないアイゼンは、子供のシュタルクに勇者一行の冒険を楽しそうに語ったのだ。
シュタルクはアイゼンが生きてるうちに、「くだらなくて楽しい旅」の土産話をたっぷり持ち帰らなくてはならないのだと言う。
城壁を下りたフェルンたちは誰かから隠れているフリーレンを見かける。
フリーレンはなぜか衛兵に追われているらしい。
ついに衛兵に見つかったフリーレンは、関所を通さなかったことを謝罪され、一行は北への関所をくぐることを許される。
町の人々の歓呼の声に送られた出立をフリーレンは苦手だとこぼすが、シュタルクは勇者一行であった師匠たちが旅立った時のような、人々が歓呼の声で送る光景を、見られてよかったと答える。

その言葉にフリーレンは微笑みながらも、「魔法の研究がしたかった」とぼやくのだった。
第13話:解放祭
大魔法使いフランメの魔導書はそのほとんどすべてが偽物だ。
かつて勇者一行との討伐の報酬に得られた、魔導書も「今までで一番できのいい偽物」だった。
アイゼンが「フランメ自体がおとぎ話のようなものだ。」と言ったのに、フリーレンはフランメの顔を覚えているのは多分自分だけだとつぶやく。
そんなフリーレンの横顔を。ヒンメルが見つめていた。
勇者ヒンメルの死から28年後。
北側諸国のエング街道付近の森で野宿していたフリーレンは、珍しく朝、起こされることなく起きてくる。
その後がけ崩れで街道を通れなくなっていた近くの町に戻る住人の依頼でフリーレンたちは、がけ崩れの土砂を撤去し街道を通れるようにした。
がけ崩れは魔物との戦いのとばっちりで崩れたらしい。
近くの町の城門が混んでいるのは、その日が勇者ヒンメルがこの地域を支配していた魔族を討伐したことを記念する、「解放祭」だからだった。
80年以上も前の出来事はすでに人間の記憶からは消えかけているが、それでも「解放祭」の日だけは勇者ヒンメル達を思い出すのだという旅人の言葉に、フリーレンはその街でヒンメルが銅像を作った時のことを思い出す。
「よく像を作ってもらっている」というフリーレンにヒンメルは
君が未来で一人ぼっちにならないようにするためかな
と答える。おとぎ話ではなく、自分たちは確かに実在していたのだと。

祭りを見ながらフリーレンは街道を復旧する依頼の依頼者だった住人に「百年後も続いているかな」と問うと「この街が続く限りは」と住人は答えた。
旅立つ朝にシュタルクが旅の目的地を問われて「天国」とフリーレンは答えるのだった。
勇者ヒンメルの名はドイツ語で「天国」という意味
第14話:言葉を話す魔物
勇者ヒンメルの死から28年後
北側諸国グラナト伯爵領を訪れたフリーレンは街中で杖を構える。
町の中を衛兵や領主と一緒に歩く3匹の魔族を見かけたためだ。

杖を構えるフリーレンは衛兵に取り押さえられ、牢へと送られる。

牢に面会に訪れたフェルンとシュタルクから、フリーレンはさっきの魔族が「断頭台のアウラ」の配下であることを知る。
「断頭台のアウラ」は七崩賢と呼ばれるかつての魔王直下の大魔族の一人で、ヒンメル一行との戦いで配下のほとんどを失って消息不明になっていたのだが、28年前に力を取り戻し、軍勢を率いてグラナト伯爵領と戦っていた。
アウラが復活したのは勇者ヒンメルが死んだのと同じ年。
待ちにいた魔族が、アウラ側が送り込んだ和睦の使者だと知ったフリーレンは、無益な悪手だと断じる。
かつて勇者ヒンメルも、追い詰めた子供の姿の魔族を見逃したことがあった。
その魔族が食い殺した少女の暮らしていた村の村長が「おかあさん」とつぶやいておびえる魔族の姿に、「償いの機会を与えたい」と言ったためだ。
しかし魔族は平穏な生活を求めて村長を殺し、その娘を自分が食い殺した少女の親に差し出すことで殺意をそらそうとしてフリーレンに討たれた。
魔族は魔物と同じで子育ての習慣がなく、産み落とされてから多くの時間を天涯孤独に過ごす。孤独を当たり前とする生物で、家族という概念すら存在しない。
魔族が「お母さん」という言葉を使うのは、人間が殺すことをためらうからだった。
魔族とは「言葉を話す魔物」のこと。その祖先は人をおびき寄せるために「助けて」と言葉を発した魔物。
魔族は死んだ後、死体を残さず崩れて消えてしまう。

差し入れを頼んで二人を返したフリーレンは、この町も長くはないとつぶやき、どさくさに紛れて脱獄しようと考えるのだった。
第15話:ドラート
「和睦の使者」である3匹の魔族は、グラナト卿によって10年前にアウラとの戦いで死んだ伯爵の子息の部屋に通される。
グラナト卿に子息の形見の剣を向けられ、衛兵に取り巻かれた3匹の魔族の中心であるリュグナーは部屋の手入れが行き届いていることを指摘し、自分も人間との戦いで死んだ「父上」の部屋をそのままにしてあると話し、話し合いの機会を乞う
グラナト卿は剣を引いて3匹の魔族を客室へと案内させた。

客室に2人になってから「父上」という言葉の意味を問う魔族のリーニエに、リュグナーは「なんだろうね」と答えた。
和睦の使者というのはやはり偽りで、リュグナーたちの狙いは和睦にかこつけて町の防護結界を解かせることだった。
3人の魔族の最後の一人であるドラートは、衛兵を殺して牢に押し入り、フリーレンに対峙していた。
断頭台のアウラが配下「首切り役人」の一人と名乗ったグラートは防護結界以外には唯一の障害であるフリーレンを殺そうとしていたのだ。フリーレンは自分は「断頭台のアウラ」よりも強いと話すが、グラートは魔力の糸をフリーレンの首に巻いて吊り下げ、決着はついたと勝ち誇る。

だが、フリーレンは魔力で首を守って断ち切られることを防ぎ、やすやすとグラートの腕を断ち落とし、グラードを倒す。
第16話:衛兵殺し
グラードの襲撃をグラナト卿に知らせて残りの魔族も始末し、恩赦を勝ち取ろうとしたフリーレンだったが、グラードが衛兵を殺していたと知り、脱獄することに決める。
衛兵殺しは極刑の大罪だが、魔族であるグラードの死体は消えてしまい、魔法で殺された衛兵について、フリーレンは釈明できなかったからだ。
街で食事をするフェルンとシュタルクは、そのおいしさにこの街が平和でいい街なのだと確信し、グラナト卿にフリーレンの釈放を直訴しようと考える。
街にいる3人の魔族は2人には強すぎると思われたし、このままでは町に危機が及ぶとも思われたからだ。
一方、客室にいた魔族たちはドラートの魔力が探知できなくなったことに気付く。
直後に現れたグラナト卿はフリーレンの脱獄を告げ、衛兵の首が斬られたいたことから、ドラートの行方を問いただす。
手練れでありながら素直に衛兵につかまったフリーレンは、衛兵殺しの罪の重さをわかっており、容易に衛兵を殺すとは考えられなかったからだ。
リュグナーは自分の血を刃に、周囲をを取り巻く衛兵の首をはね、グラナト卿を傷つけて捕らえる。

グラナト卿の邸に向かおうとしていたフェルンとシュタルクはフリーレンとすれ違う
フリーレンは事情を説明し、自分は町を出ると告げる。
残りの魔族を野放しにして町を見捨てるのかと問うフェルンに、フリーレンはフェルンたちで倒せばいいと答える。
そもそもフリーレンは、2人が街の魔族にかなわないとは考えていなかった。
それでもフリーレンに助力を懇願するシュタルクを引きずったフェルンと別れたのち、フリーレンは町から10㎞ほどのところで断頭台のアウラがこちらを探っているのを感じながら、「私だって強い相手との戦いは大嫌いだ」とつぶやく。
嫌なことは、早めに終わらせないとね

第17話:葬送のフリーレン
町に残る2人の魔族を倒すと決めたフェルンとシュタルクは、夜にグラナト卿の邸に忍び込む。
妙に静かな屋敷の中では、リュグナーとリーニエがグラナト卿を椅子に縛り付けて拷問にかけ、防護結界について聞き出そうとしている最中だった。
魔族は長い生涯の中で、一つの魔法の研究に生涯を捧げる。
千年前の「天才」フランメの防護結界を、今も魔族は破ることができない。

長い時間の中で研鑽を重ねてより強力になってゆく魔族の魔法とは異質な「天才」というものを、リュグナーは嫌いだった。
防護結界について口を割ろうとはしないグラナト卿を、リュグナーは置いて部屋を出て、リーニエと手分けをして魔導書を探しに向かう。
魔族の2人がいなくなった室内に、シュタルクが現れる。
グラナト卿を助けようとするシュタルクに、グラナト卿は衛兵に町の人々の避難を命じるために、自分の首にかかった紋章を持って立ち去れと答える。
魔法がかかっているらしい縄を切ることができなかったシュタルクが、椅子の方を壊そうとしたところで魔族の2人が戻る。
「見逃してやる」と言ったリュグナーに、シュタルクは切りかかるが、その傷から吹き出した血を武器にされて刺されてしまう。
だが、シュタルクが「単身」だと見誤ったリュグナーが油断した隙に、窓からフェルンが「一般攻撃魔法」を打ち込んで、リュグナーの左腕とわき腹を削る。

フェルンは魔力を隠匿し、シュタルクが隙を作るのを待っていたのだ。
怪我がひどいグラナト卿を連れた二人は、窓から逃げ出したが、リュグナーは2人には自分の血がついているので見失うことはないと、リーニエに告げる。
フェルンの「一般攻撃魔法」を受けたリュグナーは、かつて戦った「フリーレン」に同じ魔法を受けたことを思い出していた。
人類の「ゾルトラーク」の研究解析に大きく貢献し、それを魔族を殺すことに特化した「一般攻撃魔法」として改良し、歴史上で最も多くの魔族を葬り去った魔法使い。

その事実によって「葬送」の二つ名で呼ばれる魔法使いこそが「葬送のフリーレン」であり、」彼女もまたリュグナーが嫌う「天才」だった。
リュグナーは80年前にもフリーレンと戦っている。
[葬送のフリーレン]第3巻ネタバレ
第18話:不死の軍勢
協会で手当を受けることができたグラナト卿は、脱獄した魔法使いが勇者一行の「フリーレン」と気づき、礼を失した扱いをしたことを悔やむ。
グラナト卿の祖父の時代にヒンメル一行は、今回と同じ「断頭台のアウラ」を撃退していた。

その頃、街の外では80年ぶりにアウラとフリーレンが対峙していた。
首のない鎧の軍勢を連れたアウラに、フリーレンは感嘆しつつも「趣味の悪い魔法」と吐き捨てる。
- 天秤にのせるのはアウラ自身と対峙するものの魂
- 魔力の大きい方に天秤が傾く
- 魔力がより大きい方が相手を服従させ、操り人形にできる
- 天秤の掟はアウラ自身にも適用される
- 意志が強い者は一時的に支配に抵抗できる場合がある
- 服従対象の首を落としても、その体を操ることができる
- アウラにもリスクがあることで魔法が強大なものになっている
魔王の直轄の大魔族である「七崩賢」の座にアウラが着いてから500年、アウラを上回る魔力を持つ魂が天秤に乗ったことはなく、本来は「公平」な天秤は結果的にはアウラの必勝の魔法となっていた。
時に意志の強い者が服従に抗う事があるのを嫌ってアウラは服従させた相手の首を落とし、首なしの鎧の軍勢を作り上げたのだ。
鎧の一体にはグラナト卿と同じ紋章の首飾りがかかっている。
フリーレンは鎧にかかったアウラの魔法を解除して、鎧を開放してゆく。

前は鎧を吹き飛ばしていたのに、今回はなぜ手間と魔力のかかる解除魔法を使うのかと問われたフリーレンはヒンメルに怒られたのだと答えるが、アウラはもうヒンメルはいないのにと一層不思議がる。
その言葉にフリーレンは、魔族が化け物であり、容赦なく殺せる相手だとの思いを一層強くする。
第19話:急襲
誰かが街に残った魔族を倒さなければならないという現実に、シュタルクが出したのは「全力で土下座してフリーレンをつれもどす。」という選択肢だった。
フェルンもそれが現実的な対処であることを認める。
フェルンはグラナト卿の紋章を預かって、衛兵に街の住民の避難の要請に向かい、シュタルクはフリーレンに「全力で土下座して連れ戻す」ことに決まったが、シュタルクの血まみれの姿に城門を通れるのかと案じたフェルンに、シュタルクはフェルンの上着についた返り血を示す。
フェルンはその血が魔力を発していることに気付くが、時すでに遅く、リュグナーの血の刃に左肩を貫かれる。

そのフェルンを助けようとするシュタルクにも、リーニエの斧がせまった。
魔族の2人は魔力を隠匿し、フェルンたちに奇襲をかけたのだった。
リーニエの斧の技がアイゼンと同じであることに、シュタルクは驚く。
フリーレンが衛兵殺しの罪をかぶせられることを嫌って逃げたというフェルンの言葉を、リュグナーは否定する。
フリーレンが町の外に出たとすれば、それはアウラと戦うためだと察したリュグナーの血の刃を砕き、フェルンが杖を突きつける。
フリーレンはフェルンの「魔法を撃つ速さ」を自分よりも早いと評価している
フェルンの魔法よりも早く自分はフェルンの首を落とせるというリュグナーに、フェルンは一歩も引かず魔法を撃った。
第20話:師匠の技
- リュグナー:「血を操る魔法(バルテーリエ)」自身の血を操り、刃や盾とする。自身の血を探知、追跡できる
- ドラート:強力な魔力の糸を操る
- リーニエ:「模倣する魔法(エアファーゼン)」魔力探知が得意。他人の動きを魔力の流れを記憶することで模倣することができる。
フェルンが撃った魔法はリュグナーの血の盾に阻まれるが、リュグナーはその速度に驚く。
フェルンはリュグナーが心臓を狙った一撃をとっさに防御したことで、弱点は心臓にあることを確信する。
リュグナーはフェルンのスピードと手数の多さに押されていることを感じる。
一方、リーニエは自分の一撃を受けて立ち上がってきたシュタルクと対峙する。
前回の戦いでアイゼンの斧の技を見たことのあるリーニエは、シュタルクが同じ動きをしていることに気付いていた。
リーニエは80年前の戦いを目撃している。
あえてアイゼンの技で、シュタルクに向かったのだ。
再びリーニエの斧に打倒されたシュタルクの脳裏に、師匠アイゼンとの会話が蘇る。

アイゼンは戦士にとって最後まで立っていることが勝つという事だとシュタルクに教えていた。
どんなにボロボロになっても倒れることだけは許さんという師匠の教えの通りに、シュタルクは立ち上がる。
防御もなく斧を振りかぶって大上段から切りつけるシュタルクのわき腹に、リーニエは斧で切りつけるが、刃が通らない。

シュタルクの「閃天撃」にリーニエは敗れる。

リーニエの敗北に一瞬気を散らしたリュグナーもまたフェルンの一撃を受けた。
第21話:卑怯者
フェルンに負わされた傷からの出血が止まらず、リュグナーは自分の最期を悟る。
リュグナーは前回と違って一人で正面からアウラと対峙するフリーレンに勝ち目はないと考えるが、フェルンはその言葉を否定する
フリーレンは決して魔族と正面からは戦わず、欺いて殺すのだと。
その言葉にリュグナーはふと違和感を覚え、フェルンが魔力の放出をおさえて魔力量がわからないようにしていることに気付く。
卑怯者というリュグナーの言葉を肯定して、フェルンはとどめの一撃を放った。
1000年前、襲撃を受けたエルフの村のたった一人の生き残りが、フリーレンだった。

師匠であるフランメは魔王軍の将軍の一人である「玉座のバザルト」と正面から戦って殺したらしい強い魔力を持つエルフ(フリーレン)に魔族と正面から戦おうとするような強い魔法使いの気持ちはわからないと吐き捨てるが、フリーレンは自分よりもフランメの方がはるかに強い魔法使いだと返す。
魔力の放出をおさえているフランメの本来の魔力に、フリーレンは気づいていた。
強く隠ぺいされた魔力に気付くことができる者は希少。
フランメはフリーレンに魔法の才能を見出し、弟子にするために連れ帰る。
フリーレンを連れ帰ろうとするフランメに3人の大魔族が立ちふさがるが、表に現れた魔力量でフランメを侮った彼らは、フランメの一撃で一掃された。
フランメがフリーレンに課したのは、体外に放出する魔力量を10分の1以下に常に制限する事
一生をかけて魔力の放出を制限し、魔族を欺き、隙をついて殺す。それがフランメからフリーレン、そしてその弟子のフェルンにまで受け継がれている教えだった。
町の外でフリーレンと対峙するアウラは、リュグナーの死に気付く。
フリーレンの背後には、アウラの支配から解放された多くの鎧が横たわっていた。
第22話:服従の天秤
魔力は基本的に、鍛錬を積み重ねた年月に比例して増加する。
アウラは500年以上生きた大魔族であり、その生涯のほとんどを鍛錬に費やした。
500年というのは魔族の中でもかなりの長寿
自身の魔力量に絶対の自信を持つアウラは、服従の天秤を用いて「服従させる魔法(アゼリューゼ)」を発動させる。

1000年前、フリーレンはずるがしこい魔族がなぜ魔力の放出を制限しないのかとフランメに問うたことがあった。
魔族が人類と戦うために持っている最低限の組織的なつながりを支える秩序のおおもとは強さ。
つまり魔力量であり、それは魔族にとって見てわかるものだからだ。
魔族にとって魔力量は自身の地位そのものであり、隠すという発想自体がない。
フリーレンはフランメの下で50年ほど暮らし、師匠を見送った。

フランメが一番好きな魔法は、両親に習った「花畑を出す魔法」
「目立たず生きろ」「お前が歴史に名を残すのは、魔王をぶっ殺す時だ」というフランメの言葉の通りに長く野にあったフリーレンは、勇者ヒンメルが、ハイターが感じたフリーレンの表向きの魔力量に惑わされることなく、フリーレンの強さを見抜いたことをきっかけに、一行に加わった。
アウラにとってフリーレンは「80年ほど前に初めて表舞台に現れた、年齢不詳のエルフの魔法使い」
魔力の放出量の少ないフリーレンを侮り、アウラは自信をもって「服従させる魔法」を発動した。

だが、フリーレンの魂をのせた「服従の天秤」は、フリーレンの方へと傾いてゆく。
戸惑いながらもアウラは、自分の500年以上という長い寿命と研鑽を誇るが、フリーレンは自分は千年以上生きていると返した。
天秤は傾き、フリーレンはアウラに自害を命じる。
フリーレンの首を落とすために手に持っていた剣で、自らの首をかき切ってアウラは死んだ。
第23話:勝利と弔い

朝日の中、アウラから解放されて横たわる首なしの鎧たちに祈りを捧げているフリーレンの元に、フェルンとシュタルクが合流する。
フェルンたちと同じ馬車で現れたグラナト卿はアウラが倒されたことを喜び、解放された鎧たちに大きな損傷がないことをフリーレンに感謝する。
前は派手にやってヒンメルに怒られたのだというフリーレンに、シュタルクやフェルンは当たり前だと返す。
2人の様子を「ヒンメルはもういない」と言い放ったアウラと比べ、フリーレンは納得した気持ちになる。
鎧たちの弔いを部下に言いつけるグラナト卿に、部下の一人がグラナト家の紋章をかけた鎧を示す。
グラナト卿はフリーレンへの感謝をかみしめた。
グラナト卿の子息は10年前にアウラとの戦いで戦死している(第15話)

グラナト卿は旅立つフリーレンたちに、情勢が悪い北部高原を往来するには、冒険者でも一級魔法使いの同行が必要となることを教える。
実はフリーレンは魔法使い資格を認定する、大陸魔法協会の存在を知らなかった。
魔法を管理する団体はフリーレンの人生の中では「しょっちゅう」かわっていたのだ。
フリーレンは「聖杖の証」を取り出してみせるが、フェルンたちにはわからない。
一級魔法使いの資格を取得するため、フリーレンたちの一行は北側諸国最大の魔法都市、オイサーストに向かうことが決まった。
大陸魔法協会:半世紀以上前に設立。フェルンは旅立つ前に聖都で3級魔法使いの資格を取取っている。
旅立った一行の上に雪が降ってくる。冬になろうとしているのだ。
大陸北部の冬は厳しい。魔王軍との戦いで最も人間を殺したのは、魔族ではなく北部の冬だったという。

2人に冬への注意を促すフリーレンだが、しばらくのちシュヴェア山脈のふもとの雪の中で、迷っている一行の姿があった。

第24話エルフの願望
勇者ヒンメルの死から28年
吹雪の中で遭難しそうになったフリーレンたちの一行は、シュヴェア山脈の麓にある避難小屋にたどり着く。
避難小屋を開けたフェルンは、小屋の中で上半身裸で運動をする男性エルフを見て、変態かと思って戸を閉めてしまう。
小屋の中にいたのはエルフの武闘僧(モンク)であるクラフトだった。

火種を失ったクラフトは暖をとるために運動していたのだと言う。
火をおこすことができる魔法使いを含む一行を、クラフトは歓迎してくれた。
クラフトもエルフに会うのは300年ぶりぐらいで、もう絶滅したのかと思っていた。
小屋の外にはクラフトが運んできた、大量の食糧が乗った荷車もあり、フリーレン一行にクラフトを加えた4人は、冬を避難小屋で一緒に越すこととなった。
半年近くたち、冬が終わるころにフリーレンは「僧」であるクラフトに「なぜ女神さまを信じているのか」と問う。
クラフトは長すぎる人生でなした偉業も正義も忘れられてしまう事を嘆き、死んだら天国で女神さまに褒めてもらうのだから、いてくれなくては困ると答える。

女神さまを必ずしも信じていないフリーレンに、女神さまの代わりに褒めてやるとクラフトが言い出すが、フリーレンはその言葉にかつてのハイターとの会話を思い出す。
初対面ではフリーレンの表面上の魔力量にごまかされたハイターだったが、旅の間にフリーレンが常に魔力を制御し、長い間努力を続けていたことに気付いていた。ハイターもまた、女神さまの代わりにフリーレンを褒めようとしたのだ。
フリーレンはクラフトに自分はもう別の奴に褒めてもらったからと断り、その人は今は天国にいるのだと答えた
やがて旅を再開する日が訪れて、クラフトはフリーレンたちとは違う方へと歩いて行った。
第25話:剣の里
フリーレンが、かつてヒンメル達と王都から旅立ったばかりの頃の夢を見ている
- すでに多くの勇者が魔王討伐に失敗している。
- 「勇者の剣」は有名で、レプリカが販売されている。
- 旅の始まりにヒンメルが持っているのは行商人にもらったレプリカ
- ハイターはヒンメルと同じ村の孤児院出身
- ヒンメルはいつか本物の勇者の剣を手に入れたいと思っている。
勇者ヒンメルの死から29年後

春になって旅立ったはずのフリーレン一行は、シュヴェア山脈の中で再び吹雪にあっていた。
一行は目的地に向かって必死に歩き、吹雪が収まってきたころに目的の集落にたどり着く。
そこは代々勇者の剣を守ってきた村だった。
女神さまが授けたという聖域の剣を引き抜くことができるのは、「この世界を滅ぼす大いなる禍を打ち払う勇者のみ」とされており、80年ほど前に勇者ヒンメルが引き抜くまで、誰にも抜くことはできなかったのだと言われている、
半世紀に一度、村の周辺の魔物を倒すのがフリーレンの役目だったが、フリーレンは「大丈夫だろう」と80年ほども放っていたのだった。
翌日、魔物退治をする一行は、魔物が集まる洞穴の前で一帯の主である魔物を倒す。
洞穴の中にあって、魔物を引き寄せていたのは、本物の勇者の剣だった。
ヒンメルは、勇者の剣を引き抜くことができなかったのだ。
ヒンメルは偽物の剣で最後まで戦い抜いたのだ。魔王を倒し平和を取り戻すことができるなら、本物も偽物の関係ないのだと信じて。
ヒンメルを英雄にしたかった者たちが、魔王を倒したヒンメルこそ剣を抜くことができた勇者だという嘘を、世間に広めたのだった。
半世紀後の再訪を約束して、フリーレンたちは旅路を進んだ。
第26話:戦士への贈り物
勇者ヒンメルの死から29年。
北側諸国アベティート地方で、フリーレン一行は久々の町に到着する。
夜まで自由行動と決まり、一人で町を回ろうかと考えたフェルンは、今日がシュタルクの18歳の誕生日と、フリーレンに教えられて驚く。
シュタルクが人助けをしながら町を回る足取りを追って追いついたフェルンは、シュタルクに「ほしいものはないか」と尋ねるが、シュタルクは誕生日の贈り物をもらったことがないのでぴんと来ないと言う。
優秀な兄シュトルツと比べられて育ったシュタルクは親に大事にされていなかった。
フェルンはシュタルクと共に店に向かい、シュタルクに腕輪を贈る。
宿に戻ると、フリーレンが馬鹿みたいにでかいハンバーグを作って待っていた。
アイゼンもシュタルクの誕生日にはハンバーグを作ってくれたのだと言う。
フリーレンはアイゼンの地方の風習では「精一杯頑張った戦士をねぎらうための贈り物」がこのハンバーグなのだと教えた。
シュタルクの脳裏に、誕生日にハンバーグを焼いてくれた兄の姿が蘇る.兄は魔族の襲撃に立ち向かいながら、シュタルクには逃げろと言ってくれたのだった。
この話でフェルンとシュタルクが同い年であることが確定
第27話平凡な村の僧侶
勇者ヒンメルの死から29年後
北側諸国のアルト森林で、フリーレンは底なし沼にハマっている僧侶を見つける。
僧侶は近隣には危険な毒性生物が多いから気を付けるようにと教えてくれるが、街へと急ぐ途中でシュタルクが毒蛇にかまれ、フリーレン一行は近くの村に向かう。
教会の神父には「手遅れ」だと言われたシュタルクだったが、神父の弟であるザインによって解毒される。
ザインは底なし沼にハマっていた僧侶で、フリーレンを驚かせるほどの天性の才能を持っていた。

「弟は冒険者になりたがっていた」という神父の口添えもあり、シュタルクはザインを仲間に勧誘しようとするが、ザインはポーカーに買ったら仲間になってやると言う。
帰りの遅いシュタルクをフリーレンとフェルンが探しに行くと、身ぐるみをはがされているシュタルクとザインを見つける。
ポーカーは村長の一人勝ちだったらしい。
フリーレンが誘っても、「今更だ」とザインは首を縦に振らない。
10年前に冒険者として村を出て行った幼なじみと同行しなかったことを、ザインは悔いているのだった。
そのザインの姿に、フリーレンは勇者一行に加わる前の自分の姿を重ね、自分を誘ったヒンメルの言葉を口にする。
私は今の話をしている
それでも煮え切らないザインに、フリーレンは意地でも仲間に誘うと宣言する。
「葬送のフリーレン」第4巻ネタバレ
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第28話:僧侶と後悔
ポーカーで村長に巻き上げられたシュタルクとザインの装備をフェルンが買い戻して二人に返す。
最初、ザインを誘う事にそれほど熱心ではなかったフリーレンだが、ザインは冒険者になるべきだと言い出す。
毎日、自分を誘いに来るフリーレンたちを見ていると、ザインは冒険者になった幼馴染を思い出さずにはいられない。
フリーレンたちはザインを勧誘する参考にするために、ザインの兄である神父にザインが好きなものを聞く
- 酒
- タバコ
- ギャンブル
- 年上のお姉さん
フリーレンは自分ほど年上のお姉さんはなかなかいないと言い出すが、ザインは投げキッスをされても頑として認めない。
フリーレンの投げキッスで勇者ヒンメルが気絶したことがある。

- 10年前に幼馴染の戦士「ゴリラ」の誘いを断ってしまった。
- 「ゴリラ」は3年で帰ってくると言ったのに、10年たっても帰ってこない。
- 今更追いかけても「ゴリラ」はもう死んでるのではないか
- 自分のために兄はハイターに聖都に来るように勧誘されたのを断った。
- 自分のために村に残った兄を置いてはいけない。
神父はザインを殴り、自分は後悔したことなどないとザインに怒る。
ザインは「ゴリラ」を探すために、フリーレンたちの一行に加わることになった。
僧侶の魔法はフリーレンやフェルンの魔法とは系統が違う「女神さまの魔法」
第29話:理想の大人
勇者ヒンメルの死から29年
北側諸国のラート地方の町で、フェルンは18歳の誕生日を迎える。
誕生日プレゼントを用意していなかったシュタルクにフェルンが切れ、シュタルクが宿から飛び出して行ってしまう。
ザインはフェルンに誕生日プレゼントを買ってやりながら諭し、フェルンに仲直りして一緒にプレゼントを選んで来いとけしかける。

仲直りしてプレゼントを買いに行くフェルンとシュタルクを、屋根の上からフリーレンとザインが見守っている。
二人はハイターの思い出を話し、ザインが「ハイターは理想の大人だった」といった言葉に、フリーレンは老いたハイターとの会話を思い出す。
大人っぽくなったというフリーレンに、ハイターは自分は理想の大人のふりをしているだけだと答えたのだった。フェルンのためにも大人として、たくさん褒めてあげたいというハイターは、自分は女神さまに天国でほめてもらうのだと言う。フリーレンは「この世では私が褒める」と言って、ハイターの頭をなでた。
フリーレンは屋根の上で、そっとザインの頭をなでて、「ザインはちゃんと大人をやれてる」とほめる。
お姉さんからなら最高だったとぼやくザインに、フリーレンは私ほどのお姉さんはなかなかいないと答えるのだった。
第30話:鏡蓮華
勇者ヒンメルの死から29年
北側諸国のバンデ森林の中を進む商人の馬車に、フリーレン一行は乗せてもらっている。
フェルンが誕生日にシュタルクに買ってもらったブレスレットを見て、フリーレンは同じ意匠の指輪をヒンメルにもらったことがあると言い出し、荷物を広げて探し始める。
指輪が見つかったタイミングで馬車が鳥型の魔物に持ち上げられてしまった。

迷った末に、フリーレンは魔物を倒して馬車を落とし、着地直前に浮かせて軟着陸させることに成功する。
幸い馬は軽傷で済んだが馬車はさすがに壊れ、修理のために一行はしばらくその場に滞在することになった。
フリーレンがヒンメルにもらった指輪は、ごたごたの間にどこかに行ってしまっていた。
一方ザインはシュタルクが3時間かけて選んだというフェルンのブレスレットの意匠が「鏡蓮華」であることに気付く。
- 花言葉は久遠の愛情
- 恋人への贈り物の意匠
数日後、馬車の修理が終わり、明日には出発するという中で、フェルンはフリーレンが探し物をしていることに気付く。
ヒンメルにもらったものは指輪だけではないからあきらめるというフリーレンに、フェルンはみんなで探そうと言う。
馬車の持ち主である商人は、今回救ってもらった報酬として渡すつもりだったという「失くした装飾品を探す魔法」をフリーレンに差し出し、無事にヒンメルの「鏡蓮華」の指輪を探し出すことができた。
かつてヒンメルは、フリーレンが大雑把に選んだ指輪の意匠を見て微笑み、跪いてフリーレンの指に指輪をはめていた。
第31話:混沌花
勇者ヒンメルの死から29年
北側諸国のラオブ丘陵を下りた村の人々は、一人残らず眠ってしまっていた。
フリーレンは人々を眠らせたのは「呪い」だと言う。
呪いはフリーレンが使う「人類の魔法」では原理も解除方法わからないので、僧侶が扱う「女神さまの魔法」で解除しなければならないと言う。
- 人類の魔法:フリーレンたち「魔法使い」が使う魔法。大魔法使いフランメに始まる
- 女神さまの魔法:主に僧侶が使う聖典に記された、聖典の所持者にしか使えない魔法。
- 呪い:魔物や魔族が使う、人類には解明できていない魔法
「女神さまの魔法」を扱う資質を持つ僧侶は、基本的に呪いにも強い。
ザインは呪いの発信者を速やかに割り出すが、その間にシュタルクが呪いにかかって眠ってしまう。
ザインが今使える魔法では5秒間目覚めさせるのが限度という事で、シュタルクを目覚めさせるのはあきらめてザインが担ぐことになった。
呪いを発信している魔物までの道中の間にフェルンも眠ってしまい、シュタルクと一緒に結界の中に残して道を急ぐ。
魔物のすぐ近くまでたどり着いたところで、「必ず倒すから起こして」といいのこしてフリーレンも眠ってしまった。
ザインは一人で、村に呪いをかけて村人から魔力を吸い取りつつある「混沌花」と対決することになる。
女神さまの攻撃魔法である「女神の三槍」で混沌化に挑むザインだが、鏡面のような混沌化の葉に跳ね返されて倒すことができない。
ザインはハイターがフリーレンが「必ず魔王を倒す」と言った言葉を信じたと言っていたのを思い出す。
ザインの魔法で目覚めたフリーレンは、混沌花の核を打ち抜き、見事に混沌花を倒した。
第32話:オルデン家
勇者ヒンメルの死から29年後
魔法都市オイサーストへの中堅地点に当たる、要塞都市フォーリヒが見える場所までたどり着いたフリーレン一行は、強引に貴族の邸へと招かれる。
フリーレンたちを強引に招いたのは北側諸国3大騎士のオルデン家の当主だった。
- 一か月前に大きな戦闘があり、敵の魔族の将軍とオイデン卿の長男ヴィルトが相打ちになって斃れた
- 兵力も消耗しており、士気を下げたくないので英雄であるヴィルトの死は伏せている。
- オイデン家の出身氏族はシュタルクと同じクレ地方の戦士の村
- ヴィルトとシュタルクは瓜二つ
- 3か月後の社交界でヴィルトの健在を示すため、シュタルクに身代わりとして出席してほしい
- 報酬はシュトラール金貨10枚(1年は3食おやつ付きで生活できる)
- 書庫から好きな魔導書を1冊持って行っていい
シュトラール金貨10枚という破格の報酬に、路銀が乏しくなっていた一行は依頼を引き受けることにした。
この話で一行の路銀を管理しているのがフェルンであることがはっきりとわかる
シュタルクは依頼の達成のために、各種の作法を叩き込まれることになった。

オルデン卿にはまだ幼い次男ムートがいるが、ヴィルトほどの才能はないのだという。
ムートの姿に、シュタルクは兄と比べられて「失敗作」と言われていた過去を思い出す
オルデン卿は努力家のムートを評価しており、自分よりも強い騎士になるだろうと考えていた
シュタルクのパートナーを務めるためにフェルンも一か月間作法を習うことになる。
社交界が終わると、オルデン卿はフリーレンに報酬を支払い、シュタルクに残らないかと誘う。
オルデン卿は戦場へ向かう息子とケンカ別れをしていた
シュタルクは自分も育ての親に心にもない言葉を言ってしまっていて、旅の土産話をたっぷりと持って帰らなければならないのだと断る。
半日以上かけてフリーレンが報酬の魔導書を選んでいるのを待つ一行の視線の先には、ムートを鍛えるオルデン卿の姿があった。
第33話:フォル爺
勇者ヒンメルの死から29年後
フリーレン一行は北側諸国のクラ―地方の村に、ドワーフのフォル爺を訪ねる。
フォル爺は400年近く村を守っているドワーフで、フリーレンの長寿仲間だった
ドワーフの寿命は300年程度
ボケたふりをするフォル爺に油断したシュタルクは、見事に足を払われて転ばされる。
シュタルクは滞在する1週間の間にフォル爺に稽古をつけてもらうことになった。
小さな依頼を果たしながら滞在する間に、フェルンたちはフォル爺が「村のお守り」として愛されていることを知る。
1週間は瞬く間に過ぎ、フリーレンはフォル爺がかつてフリーレンがヒンメルを知る機会をくれたことに感謝していることを伝えた
かつてヒンメルはフル爺が村を守っている理由を問い、フォル爺は亡き妻の愛した村を守っているのだと答えていた。そしてヒンメルという偉大な勇者の記憶を未来に連れて行ってやると言うフォル爺に、ヒンメルは「それはフリーレンの役目だ」と返した。
フォル爺はフリーレンに「ヒンメルの顔を覚えているか」と問う。
フォル爺は生涯をかけて村を守るきっかけとなるほど愛した妻の姿を、思い出すことができないでいた。
旅の目的地を問われて「エンデにあるオレオール」と答えたフリーレンに、フォル爺は「ついに魔王を倒しに行くのか」と返す。
フリーレンは「フォル爺の記憶も未来に連れて行く」と語りかけた。
翌朝、旅立つフリーレンに、フォル爺は「妻の夢を見た」とほほ笑むのだった。
第34話:英雄の像
勇者ヒンメルの死から29年後
北側諸国のローア街道を進むフリーレン一行は、街道の分岐点にある集落に立ち寄る。
その集落にはザインの親友である「戦士ゴリラ」が立ち寄っていた。
「ゴリラ」は記憶に残るように、インパクト重視でつけた冒険者としての名前。本名はザインも忘れている。ちなみに同じ理屈でつけたザインの冒険者としての名前は「アゴヒゲ」
「ゴリラ」と仲が良かったという高台の老婆が一行を導いた先には「英雄の像」があった。

遥か昔に世界を救ったとされる英雄たちの像だが、すでに名前も忘れられているという。
像は戦士と僧侶の2人組で、戦士はかつてフリーレン一行が冬を共に越したエルフのクラフトだった。

同じ像がザインの故郷にもあり、かつてザインとゴリラはハイターにも像を見せていた。像の英雄の名が忘れられていたことが、ゴリラが「インパクト重視の名前」を考えるきっかけになっており、「僧侶アゴヒゲ」の命名者はハイター。
老婆はゴリラの行く先を東の交易都市チューアと教えたが、それはフリーレンたちが目指す魔法都市オイサーストとは反対方向だった。

第35話:旅立ちのきっかけ
寒波がやってきたことで、フリーレンたちは集落に足止めをされてしまう。
一か月ほどの寒波の間、一行はそれぞれが思い思いに過ごしていた。
喧嘩をするフェルンとシュタルクの仲裁をするザインは2人をたしなめ、仲直りをさせるが、「もうつきあっちゃえよ」とフリーレンにこぼす。
ザインに「なぜ自分にかまうのか」と聞かれたフリーレンは「同族嫌悪だ」と答えた。
冒険に出ようとしないザインが魔王討伐に旅立つ前の自身とよく似て見えて頭にきたフリーレンは、勇者ヒンメルがそうしてくれたように、ザインにきっかけを与えたくなったのだ。
寒波が過ぎ、集落を出たところで、ザインは一行と別れてテューアに向かう。
ザインはもう、後悔するつもりはないのだった。
第36話:心の支え
勇者ヒンメルの死から29年後
北側諸国のオッフェン群峰で野宿をしている時に、フェルンが熱を出す。
フリーレンも聖典を所持しており、「女神さまの魔法」で簡単な病気の判別くらいはできる
フェルンの病気は単なる風邪で、ザインが残してくれた薬草に関する手記のおかげで、必要な薬草も判明する。
勇者一行との旅の時に立ち寄った村へとフェルンを運ぶが、村はすでになく、一軒の家が残っているだけだった。
ベッドに寝かせたフェルンの手をフリーレンが握ると、「はずかしい」とフェルンが嫌がる。
この話で人間の成人年齢が20歳程度であることが確定
家の住人にフェルンを預け、フリーレンとシュタルクは薬の材料を集めに向かう。
かつて熱を出したフリーレンの手を、ヒンメルがずっと握っていたことがあった。「心の支えが必要なのは子供だけじゃない」というヒンメルに、フリーレンは「悪くないかも」と答えた。
フェルンの熱が下がり、一行は魔法都市オイサーストへの旅に戻るのだった。
第37話:一級試験
勇者ヒンメルの死から29年後
北側諸国きゅーる地方にある魔法都市オイサーストに一行はついにたどり着く。
北部高原へ入るためには、オイサーストで1級魔法使いの資格を取らなければならないのだ。
- 魔力
- 技術や経験
- 扱う魔法やコントロール
- 努力と根性
- 才能
選ばれた一握りしかなれない1級魔法使いに自分がなるのは無理だと答えるフェルンに、フリーレンは魔法使いの強さを決めるのは、魔力だけではないと答える
フリーレン自身が今までに11回、フリーレンよりも魔力が少ない相手に負けているのだ。
- 魔族4人(腐敗の賢老クヴァールを含む)
- エルフ1人
- 人間6人
同じころ、グラナト伯爵領の辺境で盗賊に襲われた魔法使いのユーベルを、エルフの武闘僧クラフトが助ける。

実際にはクラフトはユーベルを助けたわけではなく、殺すことをいとわないユーベルから盗賊を救ったのだった。
1級魔法使いの試験を受けに行くというユーベルと、クラフトは反対方向に分かれてゆく
- 試験は2か月後
- 3年に1度試験が実施されている
- 5級以上の魔法使い資格を持っていないと受けられない
- オイサーストの北部支部と聖都シュトラールの本部で開催される
あわやフリーレンは受験できないかとも思われたが、所持していた「聖杖の証」が認められ、受験することができることになる。
- 5級から上が「一人前」の魔法使い(総数600人)
- 9~6級が「見習い」(1400人程度)
- 1級は45人しかいない
二か月間みっちりと修行をしたフリーレンとフェルンは、ゲナウ1級魔法使いが試験管をつとめる、一級魔法使いの第1次試験を受ける
- 北部魔法隊長ヴィアベル2級魔法使い
- 権力闘争を勝ち抜いた宮廷魔法使いである、デンケン2級魔法使い
- 史上最年少で3級試験トップ合格を果たした、フェルン3級魔法使い
- 2年前の2級試験で試験管の1級魔法使いを殺害して降格になったユーベル3級魔法使い
第1次試験はパーティー戦で総勢57人が3人1組のパーティーに分かれて受験する。
組み分けのための腕輪が配られ、フリーレンは第2パーティー、フェルンはユーベルと同じ第4パーティーに決まった。
「葬送のフリーレン」第5巻ネタバレ
下のリンクから各話に飛ぶことができます
この巻の内容はほぼ一級魔法使い試験の第一次試験に費やされています。
第38話:隕鉄鳥
ついに1級魔法使い試験の第1次試験が始まった。
- 3人一組のパーティー戦
- パーティーの番号の書かれた腕輪をつける
- 腕輪に魔力を込めると、同じパーティーの仲間の位置がわかる
- 試験区域に生息する隕鉄鳥(シュティレ)をパーティーに1つ配布された籠に捕まえる
- 試験2日目の日没に隕鉄鳥の入った籠を所有し、パーティーメンバーがそろっていれば合格
- 基本的に行動は自由だが試験区域外に出た者が所属するパーティーは失格
- 試験区域は中央に湖がある盆地で、塵一つ通さない強力な結界で囲まれている
フリーレンは第2パーティーで共に3級魔法使いのラヴィーネとカンネと組む。
ラヴィーネとカンナは幼なじみで、同じ魔法学校の出身だった。
- フリーレン:無資格(聖杖の証をもつため特例で受験)
- ラヴィーネ:3級魔法使い。凍らせる魔法が得意
- カンネ:3級魔法使い。水を操る魔法が得意
すぐに喧嘩を始める二人を連れて、フリーレンはまず隕鉄鳥を観察しようとするが、せっかくみつけた隕鉄鳥をカンネとラヴィーネが捕まえようとして失敗する。
- 大きさは手のひらに乗るぐらい
- きわめて頑丈
- 拘束もすぐに破る
- 最大飛行速度は音速を超える
- 魔力にとても敏感
- 隕鉄鳥自体は魔力をほとんど持っていないので、魔力探知ではみつけられない
その夜、3人は試験区域内で野宿をする。
雨音にカンネが目覚めるが雨は降っておらず、フリーレンがいない。
カンネは1人起き上がって歩き出し、鳥型の魔物に襲われ、杖を弾き飛ばされてしまい、とっさにラヴィーネの名前を呼ぶ。
あわやというときにフリーレンが、「鳥を捕まえる」魔法を用いて、カンネを助けた。
喧嘩ばかりしているのに実は連携が取れている2人の事を不思議がるフリーレンにカンネは初めての飛行実習の時の思い出を話す。
他の生徒が先に行ってしまった後も、臆病なカンネは飛び立つことができない。足元は湖なのだから死なないとはっぱをかけるラヴィーネに、カンナは自分のいいところを言ってほしいと頼む。ラヴィーネはカンネの「いいところ」を上げてゆくが、「キモイ」と言われてカンネを蹴り飛ばし、湖に落ちそうになったカンネは飛ぶことができた。
カンネは「ラヴィーネは乱暴だけどちゃんと引っ張ってくれるし、おかげで怖いことも勢いに任せれば何とかなると気づいた」と話した。
その話を聞いたフリーレンは、勇者パーティーで初めて竜に挑んだ前日の事を思い出す。
ヒンメルが竜との戦闘が怖いともらすアイゼンに、自分も怖いとこたえ、他の冒険者のようにうまく鼓舞できないと謝る。アイゼンはおかげで緊張がほぐれたと答え、ハイターはヒンメルを冒険の仲間ごとに違うのだから自然体でいいとさとした。
フリーレンは確かに仲間ごとに違うと感じる。
カンネは自分が気付いたことをフリーレンに伝え、フリーレンは隕鉄鳥を捕まえる方法を思いついた。
一方、第4パーティーのフェルンは隕鉄鳥を捕まえるが、同じパーティーの2人に「これからは隕鉄鳥を奪われないように他のパーティーから守る対人戦の時間だ」と諭されていた。
第39話:捕獲作戦始動
フリーレンは自分が知る「鳥を捕まえる魔法」なら隕鉄鳥を捕まえられると話す。
- 魔法が一般的だった時代の民間魔法
- 狩猟を生業とする一族が編み出した
- 大雑把に「鳥みたい」なものはすべて捕まえられる
- 強力な拘束魔法
- 射程は50㎝
問題は射程があまりに短いことで、前日に3回隕鉄鳥を見つけられた時も、一番近くて3mまでしか近づくことはできていなかった。
カンナが水を操り、ラヴィーネが凍らせることができるが、カンナの水を操る魔法にも制約が多く、隕鉄鳥の足止めは難しい。
- 水自体を生成できるわけではない
- まとまった水は魔力が通りにくいから、事前に魔力を込める必要がある
- 雨のように分散していれば、大量の水でもすぐに操ることができる
魔力に敏感な隕鉄鳥は、魔力を込めた水には近寄らないだろうと言うカンナに、フリーレンは作戦を思いついたと言い出す。
- フェルン:3級魔法使い
- ユーベル:2級試験で試験管を殺して降格された3級魔法使い。「物体を切り裂く魔法」を使う。
- ラント:2級魔法使い 幻影魔法の分身を使う。
ユーベルは自分たちが歩いている「道」が、実は枯れた「川」であることに気付く。試験区域を囲む結界は川の水も通さないもので、川の枯れ具合から見て1週間以上前に張られていたらしい。
つまり結界内の生き物は水のほとんどが集まる中央の湖の近くに集まっていると考えられた。
当然「隕鉄鳥」もそれを狙う「受験生」も集まっているはずだ。
湖を何とか避けようかと考える第4パーティーに、第8パーティーのヴィアベルたちが襲い掛かった。
隕鉄鳥をめぐって戦う第4パーティーと第8パーティーは、湖の方角で起こった大きな魔術の気配に一瞬手を止める。
それは第2パーティーのラヴィーネが、湖を凍らせた気配だった。
湖のそばにいた第13パーティーのデンケンは、派手に魔法を使われた湖に隕鉄鳥はもう来ないだろと考え、湖を凍らせた第2パーティーが隕鉄鳥を捕まえたら、奪う事を考えていた。
第40話:鳥を捕まえる魔法
第13パーティーのデンケンは、第2パーティーが湖を凍らせたのは隕鉄鳥を捕まえるための計画の一部だと考える。
- デンケン:2級魔法使いにして宮廷魔法使い
- ラオフェン:3級魔法使い 「高速で移動する魔法(ジルヴェーア)」を使う
- リヒター:2級魔法使い 「大地を操つる魔法(バルグラント)」を使う
試験区域は屍誘鳥(ガイゼル)の生息地で、すでに何人もの受験生が犠牲になっている。
大魔法協会は1級魔法使いの質を高く保つため、命の危険も顧みない試験を行っている
第2パーティーを探すデンケンたちは、途中で見かけた水場のすべてに魔力が込められていたのに気づき、どこかに魔力が込められていない水場があるはずだと気づく。
魔力に敏感な隕鉄鳥は魔力のこもった水場には近づかない
一方、魔力を込めていない水辺に座ったフリーレンは、自分の魔力を動かなければ漏れないほどにまで極端に制限する。
魔力を、気配を殺したフリーレンの傍らには様々な動物や屍誘鳥までもが訪れるが、みなフリーレンに気付かない。
やがて、肩にとまった隕鉄鳥を、フリーレンが捕獲する。
その一瞬の、捕獲のために使われた魔力を探知した第13パーティーが、隕鉄鳥を奪おうを襲い掛かってきた。
第41話:覚悟のための時間
フェルンたちの第2パーティーは、隕鉄鳥を狙う第8パーティーと戦っていた。
- ヴィアベル:2級魔法使いにして北部魔法隊隊長。「見た者を拘束する魔法」を使う
- シャルフ:3級魔法使い。「花弁を鋼鉄に変える魔法」を使う
- エーレ:2級魔法使い。「石を弾丸に変える魔法」を使う。
エーレはフェルンの相当スタイルを、「洗練されていて隙が無いけれど古い戦い方」だと感じる。
フェルンはフリーレンに「戦闘では基礎的な魔法以外使わない」ように言われている
フェルンは攻撃魔法の複数同時展開による飽和攻撃で、エーレを倒す。
隕石鳥の籠を持っていたユーベルはヴィアベルと対峙する。
ヴェアベルの「見た者を構想する魔法(ソルガニール)」にとらわれたユーベルは、隕鉄鳥の籠を投げてヴィアベルの視線をそらし、拘束を解いてヴィアベルの目を狙うが、果たせず顔を傷つけるにとどまる
再び魔法で拘束したユーベルを、ヴィアベルは北部魔法隊で見た戦場を語る
北部魔法隊は対魔族の傭兵だが、国同士の戦争に動員されることもあり、駆り出された女子供を殺すこともある
ユーベルは「特異な魔法は人生や人間性と大きくかかわっている」と思っており、「拘束する魔法」を得意とするヴィアベルは本来人間を殺したくないのだと悟る。
「必要な殺し」としてユーベルを殺そうとするヴィアベルに、突然現れたフェルンが杖を突きつける。
第42話:戦う理由
ヴィアベルに杖を突きつけたフェルンは「エーレ」を殺したと話し、「殺す理由」を失ったヴェアベルはユーベルの拘束を解く。
試験に合格するにはパーティーのメンバー全員がそろっていなければならない
第8パーティーのシャルフは第4パーティーのラントの利き腕をつぶすが、実際は腕をつぶされたラントは幻影魔法による分身だった。シャルフはラントによって倒される。
実際にはフェルンはエーレを殺していない。
ヴィアベルはパーティーメンバーのエーレとシャルフを一人で運びながら、自分は「下心」のために戦っているのだと話す
29年前北側諸国の魔族の動きが活発化したときに一家で中央に移住した意中の人と、4~5歳のヴィアベルは「魔族を全部俺が倒したら、この村に戻って来い」と約束した。
道中でエーレが隕鉄鳥をみつけ、ヴィアベルは「見た者を拘束する魔法」で隕鉄鳥を捕まえることができた。
北側諸国で魔族の動きが活発化したのもヒンメルが死んだ年
一方、フリーレンが属する第2パーティーは、第3パーティーのラオフェンの魔法によって隕鉄鳥を奪われていた。
第43話:特権
試験区域の結界の中で、第1次試験の試験官であるゲナウが、同僚のゼンゼとお茶を飲んでいる。
ゲナウが設定したこの一次試験は「隕鉄鳥争奪戦に見せかけた対人戦」。魔法使いにとって魔力感知の利かない隕鉄鳥は、ほとんど運任せでしか捕まえることができない獲物。
隕鉄鳥を奪われたフリーレンたち第2パーティーは、第3パーティーのデンケンとリヒターに対峙していた。
デンケンは「勇者一行の魔法使いフリーレン」を知っていて、隕鉄鳥を奪って逃げたラオフェンを追われることを警戒して足止めしようとしているのだ。
「勇者一行の魔法使いフリーレン」は、伝説的な魔法使いとなっている
デンケンは自らでフリーレンの、リヒターに残りの2人のさせるつもりだったが、リヒターはいっそフリーレン以外のどちらかを殺してしまおうと言い出す。
一級魔法使いになった者には特権として、大魔法協会の創始者であるゼーリエから、1つだけなんでも望んだ魔法を授けられる。

その特権のおかげで、多くの魔法使いが1級資格を目指し、今では1級魔法使いと言えば人外を疑うほどの魔法使いばかりとなっていた。
デンケンは1級魔法使い試験には人を殺すほどの価値はないと考えている。魔法というものは探し求めている時が一番楽しいと考えているので、「特権」にそれほどの価値を見出していなかったのだ。
その言葉に、フリーレンは師匠にゼーリエに引き合わされた時のことを思い出した。
ゼーリエは、フリーレンの師であるフランメのさらに師匠
かつてゼーリエに「一つだけ望む魔法を授けてやる」と言われたフリーレンは、デンケンと同じ理由でそれを断っていた。フリーレンには野心がないからダメだと言うゼーリエに、フランメはフリーレンはいつか魔王を倒す「平和な時代の魔法使い」だと答えた
フリーレンとデンケンは、杖を構えて対峙する。
第44話:隕鉄鳥奪還
リヒターはラヴィーネとカンナの足止めをしながら、これでは本当に子供のお守りのようだとぼやく。
- 「人を殺す魔法」の対処法として防御魔法が開発された。
- 防御魔法は魔法そのものに対しては強い耐性を持つが、物質的なものに対する防御性能は昔とほぼ変わっていない
- 防御魔法に完璧を求めると発動速度に致命的な影響が出る
- 防御魔法の特性に対応して、現代の攻撃魔法は物質を操るものが主流
リヒトが操る「大地」という圧倒的質量の物質にカンナの防御魔法が砕け、カンナとラヴィーナは派手に吹き飛ばされてしまう。
フリーレンと戦うデンケンは「竜巻をおこす魔法(ヴァルドゴーゼ)」や「風を業火に変える魔法(ダオスドルク)」を駆使する。
結界内でのお茶会を続ける試験官のゲナウに、ゼンゼが「結界は大丈夫か」と問うが、ゲナウは問題ないと答える
試験区域の結界を張ったのは大魔法使いのゼーリエであり、力業で破壊できるようなものではない
昨夜から結界を解析している者がいると言うゼンゼに、ゲナウは無駄な行為だと答えた。
デンケンはさらに「裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)」を放って畳みかけるが、フリーレンはすべての魔法に基礎的な戦闘魔法だけで対処し、反撃してみせる。
倒れたデンケンを「殺す」と言って、フリーレンは隕鉄鳥を持っているはずのラオフェンに出てくるように呼び掛ける。
フリーレンがデンケンを痛めつけようとしているのを見たラオフェンは、デンケンの救助のために「高速で移動する魔法」を使ってしまい、フリーレンに捕まって隕鉄鳥を奪い返されてしまった。
デンケンの故郷は北部高原奥地の街。墓参りに行くために1級魔法使いの資格が欲しかった。
リヒターに残りの2人はもう殺されているかもしれないというデンケンに、フリーレンは「カンナたちが勝つ」と答える。
フリーレンは試験区域の結界の解析をちょうど終わらせたところだった。
第45話:水を操る魔法
デンケンが敗北したことに気付いたリヒトは、カンナとラヴィーナを殺そうとする。
2人は対抗するが、1分と持ちそうにない。
だがその瞬間結界が壊れ、結界にとどめられていた雨が降り注いでくる。
魔法はイメージの世界。水を操る魔法使いに雨の中で勝つイメージを持つことは難しい。
リヒトは大量の水を操るカンナの魔法に敗れた。
フリーレンは魔力切れを起こしている二人の頭をなでて褒める。
フェルンたち第4パーティーは雨から逃れて洞窟に隠れている。
デンケンたち第13パーティーは、隕鉄鳥を捕まえていながらメンバーが一人死亡したパーティーを見つけ、隕鉄鳥を奪うために殴り合いを挑む。
第1次試験の合格者は6パーティーの18名。
その中には第2、第4、第8、第13パーティーが含まれていた。
第46話:もっとおいしい味
1級魔法使い試験の第1次試験が終わった。
- 第1パーティー:メトーデ、トーン、レンゲ
- 第2パーティー:フリーレン、ラヴィーネ、カンナ
- 第4パーティー:フェルン、ラント、ユーベル
- 第8パーティー:ヴィアベル、シャルフ、エーレ
- 第13パーティー:デンケン、リヒター、ラオフェン
- 第17パーティー:エーデル、ブライ、ドゥンスト
3日後の第2次試験については追って通達があるという事で、受験生の一行は解散する。
一級魔法使いの第一次試験の間、宿に残されたシュタルクはいつもよりも自堕落な生活を満喫していた
夜更かしし、夕方まで宿で寝ていたシュタルクは、前日の夜にすでに試験から帰ってきていたというフェルンに問い詰められて、夜更かしをした事と夜中にジュースを飲んだことを白状する。
実はフリーレンもまだ起きたばかりで、フェルンは2人の生活態度にすっかりむくれてしまった。
フリーレンはフェルンの機嫌をとるために、昔ヒンメル達と食事をした店に出かけることを提案する
第13パーティーだったリヒターは、オイサーストの街で魔道具の修理屋を営んでいる。
試験の翌日にもいつも通り店を開けたリヒターは、夕方に同じ13パーティーだったデンケンとラオフェンの訪れを受ける。
デンケンは食事をおごるから、生前の妻と一緒に行った店を探すのを手伝えと持ち掛けてきた。
フェルンと同じ第4パーティーだったユーベルは共感することで相手が得意とする魔法を使えるようになる
街中でやはり第4パーティーだったラントが、分身体だけで一次試験を受験していたことに気付いたユーベルは、街で見かけたラントに、「初めまして」と話しかける。
ラントを理解し、共感したいと感じているユーベルは、ラントをヴィアベルが得意としている「拘束する魔法」で拘束し、ラントに自身のことを教えろと迫る。
だが「気に食わないから教えない」というラントの言葉に「少しわかった気がする」と拘束を解いた。
ラントはついてくるなというが、ユーベルはラントのあとを追う。
元第13パーティーの面々は、デンケンが探していた店にたどり着く。
そこはリヒターもよく訪れる「町で一番美味い店」だった。
店内に入ると、フリーレンたちが席につき、メニューを見ているところだった。
かつてヒンメル一行は、この店の家宝の包丁を魔族から取り戻し、当時の店主であるレッカーは、フリーレンに「当店の味は後世まで残す」と宣言し、ヒンメルは仕事の報酬として「この味をしっかり未来まで届ける」ことを要求していた。
料理のおいしさにとても喜ぶフェルンとシュタルクを見ながら、フリーレンは「味が変わっている」とつぶやく。料理はかつてヒンメル達と食べたときよりも、ずっと美味しくなっていた。
デンケンたちだけでなく、ユーベルとラントも同じ店で食事をしている。
おいしい料理のおかげで無事フェルンの機嫌は直ったが、フリーレンのヘソクリがなくなってしまった。
第47話:フェルンと焼き菓子
翌朝、フェルンは昨夜よりも怒っていた。
昨日フリーレンが買い出し当番を忘れた事などで、ため込んでいた怒りを爆発させたらしい。
フェルンは怒りをため込んで爆発するタイプ
2人の間をとりなそうとするシュタルクに、フェルンはおやつが食べたいと言い出す。
3人はみんなで買いに行くことにした。
その頃ラヴィーネと待ち合わせていたカンナは、ヴィアベルが街で戦士を勧誘しているのを見かける。
ラヴィーネは帝都から戻ってきた兄のお土産でいつもよりも着飾らさせられ、うんざりした様子で現れた。
2人はお菓子の店で、フェルンのためのお菓子を探しているフリーレン、シュタルク、フェルンと出会う。
合流して5人で歩いていると、シュタルクがヴィアベルに勧誘される
ヴィアベルは大魔法協会から受けた討伐依頼のために、同行する戦士を探していた。
シュタルクはヴィアベルに同行することになり、フリーレンは宿でカンナとラヴィーネから「お礼のお菓子」を受け取った。
フリーレンにはお礼されるようなことをした覚えはなかったが、カンナとラヴィーネにとっては第2次試験まで進めたのはフリーレンのおかげだったのだ。
なぜ人助けをするのかと問うフリーレンに、ヒンメルは「生きているという事は誰かに知ってもらって覚えていてもらうという事だ」「覚えていてもらうためにはほんの少しでいいから誰かの人生をかえてあげればいい」のだと答えていた
カンナたちからもらったお菓子がおいしかったことで、フェルンも機嫌を直す。
4人でくつろいでいるところに、2次試験の通知がきた。
通知によって2次試験の試験官がゼンゼと知ったラヴィーネが「ツイてない」とこぼす。
ゼンゼは担当した過去4回の試験で、一人も合格者を出していない試験官だった。

現在続きの解説を執筆中です。書きあがり次第順次掲載いたします。
こちらでは「葬送のフリーレン」のお話の流れをわかりやすく解説するところに主眼を置いておりますので、小さなネタやセリフ回しなどは拾えていません。
原作の本当の面白さは原作にしかないものと、ご承知おきいただけますと幸いです。
「葬送のフリーレン」のコミックスは現在11巻まで刊行されています。
ご興味のある方はぜひ、原作もご一読ください。
「まんが王国」ならスマホで手軽に読むことができます。
まとめ
- 「葬送のフリーレン」は回想と現実を行き来しながら物語が進む
- アニメは原作を2~3話まとめて1話にしている。
- 魔法、魔族、魔力など、独特で魅力的な設定が多い。
- フリーレンが目指すのは死者と話すことのできる「天国」
- 勇者ヒンメルの名はドイツ語で「天国」という意味
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